がんと愛犬と私

がんサバイバーという生き方

父を看取る 一番つらかったこと②

 

3月3日

数時間おきに自分でポータブルトイレに座るが、

尿はほとんど出ていない。

立っているもの困難になり、

私が前から抱えて姪がパンツとズボンを上げる

という全介助の状態になった。

声もかすれた小さな声しか出せなくなったが、

首振りや表情で意思表示をしていた。

女性ものの尿取りパットと普通の下着ではうまく当てられず

寝巻を尿汚染することが増えたので、

リハビリパンツ(履くタイプのおむつ)にしてみることを提案したが

もんのすごく嫌そうな顔をされた。

 

苦痛も長い時間持続するようになり、

ずっともそもそしている感じだった。

ふと思う。

(夜間も1人でずっとこうしているんだろうか・・・)

 

父に少し眠れるような薬を出してもらうかと聞いたら頷いた。

前回の往診時に痛みが強くなったら緩和も考慮すると言われていたので、

かかりつけ医に電話して状況を話した。

 

ここで医師が引っかかったのは

「痛み」と「血圧」。

父は痛い訳ではなく、体の置き場がない感じ。

医師としては痛みを訴えていないことが引っかかった様だった。

血圧も120代に下がっており、

元々190代だった父からすればかなり低い。

痛みを緩和する薬はほぼほぼ血圧を下げる。

薬の使用が引き金となってそのまま・・・という可能性も十分ありうる。

仕事だったらそのまま従っただろう。

でも今は看護師ではない。

このまま何もせず、苦しいまま父が旅立ってしまったら一生後悔する。

・がんの末期には身の置き所がない苦痛がでることがあるとネットにあった

・今、一番見ていて辛いのはこの苦痛に対して何もしてあげられないこと

・血圧が下がってそのままという状態になるのは覚悟の上

そう医師に食い下がった。

押し切った形になったけれど、

内服薬ではなく坐薬で鎮静作用のある薬を処方してくれた。

電話を切った後部屋に様子を見に行ったら、

父が穏やかな顔でこちらを見た。

「今は良いんだね。波があるんだね。」

と聞くと頷いた。

 

その日の夜、物音で訪室すると

ベッドのリモコンが落下、足がポータブルトイレの上にあった。

お茶を飲み切っていたので入れ直して戻ると

呼吸が荒くなっており、しきりに体の位置を変えている。

また波が来たようだった。

眠れる薬を出してもらったことを説明すると

「あんたがあんたに入れるのか?」

「違うよ、私がお父さんに入れるの。」

「・・・じゃあやってみて。」

と言う会話をして坐薬を入れた。

この時、血圧121/81 脈拍103

急変する可能性もあったので、兄と姪にも薬を入れたことを伝え、

そのまま横で見守りをした。

薬が効いてくるまでの30分ほど、

体動が激しく身もだえるような感じで起き上がったりもする。

「何でこんな・・・」

「あ~・・・」

と呻くように声が出る。

 

父の様子を見ながらちょうど4年前、

がんの術前にのた打ち回るような痛みに耐えていた自分を思い出していた。

 

30分ほどしてうとうとし始め、

1時間半後には寝息を立てて眠っていた。

 

 

 

 

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