
3月4日
1時
兄にシーツまで尿汚染していると起こされた。
(朝までそのままはかわいそうなので起こしてと頼んであった)
着替えとシーツ交換をしてお茶を飲ませる。
少量でもむせてしまうが、自分でせき込んで出す力はある。
表情は悪くないが、ぼんやりしている。
6時
物音で見に行くとポータブルトイレに座っていた。
排尿の有無は不明。
座位も立位も保てない。
6時40分
薬によるせん妄(混乱状態)なのか
「電気を入電しろ。」
「通電しておけ、入ってるんだろう。」
とかすれた声で怒ったように言う。
(温室のことかなぁ・・・)と思いながら
とりあえず部屋の電気をつけておいた。
8時15分
血圧95/74 脈拍96
声掛けに頷きあり。
この日、私はPETーCTの結果を聞きに受診予定があったので、
姪と兄にお願いして外出。
以降は姪の記録より
9時30分
寝ているが、声掛けに反応あり。
布団が落ちかけているので直すと何か言うが聞き取れない。
11時10分
もそもそ動いている。
自分で布団を掛け直していた。
13時30分
布団を剝いでいる。
「暑い?」
「何か食べる?」
「トイレ行く?」
全ての質問に首を横に振る。
少しうめき声がしたので
「どうした?」と聞くと
「なんもない。」
「ベッドから足が落ちているけど良いの?」
「かまわん。」
とかすれた声で返事。
ちょうどこの頃に私は帰宅。
PETーCT結果を兄と姪に伝え、抗がん剤を再開しようと思うと話した。
13時45分
病院で購入した大き目のパットを父に見せようと部屋に行った。
布団はベッドの上にきれいに掛かっているのに、
ベッド上に父がいない。
駆け寄るとベッドサイドに足を投げ出した状態で座り込んでいた。
「落ちてる!!」
けがをしていないか確認しようとして
意識がないことに気付く。
目を開いたままで顔は土気色、
下顎を動かし喘ぐような呼吸(下顎呼吸)。
「やばい!!血圧計持ってきて!あと電話!!」
と叫んだ。
兄が取りに行ってくれている間の数十秒。
「待っててくれたんだね。」
父を抱きしめて泣いた。
すぐに気を取り直して兄と一緒に父をベッドに上げた。
ズボンが濡れていた。
血圧を測るが測定不可。
もう橈骨(手首)も正中(肘の内側)も脈が触れない。
測りながらかかりつけ医に電話し状況を伝えた。
1時間後ぐらいに行けるとのことだった。
あとは見守るしかない。
私は父の胸に手を当て呼吸回数を確認しつつ、
泣き笑いしながら話しかけた。
「パット買ってきたその日になんて。
本当にパットが嫌だったんだね。」
私が帰宅して15分後の14時、呼吸が止まった。