がん種とがんステージが判明し、術後に抗がん剤治療が確定した。
この抗がん剤治療こそが大きな山場だった。
正直、このことは書くことを迷った。同じ抗がん剤を使う人が目にしたら、不安を煽ることになるかもしれないと思ったからだ。
しかし私は標準治療を受けられなくて苦しかったときに、経験談を見つけられず逆に不安になった。なので同じような状況になった人の一助になればと公開することにした。
抗がん剤は卵巣がんの標準治療であるTC療法、パクリタキセル+カルボプラチン。
1クール目は入院しての投与。
パクリタキセルの点滴を開始して早々にのどの違和感が出現した。ナースコールを押して看護師さんに来てもらったが、症状を伝えているうちに呼吸が苦しくなり、話せなくなってしまった。
すぐに緊急コールが押され、コードブルーの放送もかかり、すごい数のスタッフが飛んできた。
パクリタキセルはいったん中止になり、追加で抗アレルギー剤を点滴。
主治医も来てくれたが、パクリタキセルは初回でこのような症状が出やすいらしく、滴下速度を落として再開することになった。不快な症状はまだあったが、我慢できないほどではなく、倍以上の時間をかけて1クール目は終了した。
3週間後の2クール目は外来で投与だった。
前回と同じように倍の速度で点滴を開始したのだが、5分ほどしてのどの違和感が出てきた。「やっぱり変!!」と看護師さんに言った瞬間、呼吸が苦しくなり、吐き気と顔のほてりも出現。そのまま突っ伏すようにベッドに倒れこんだ。
看護師さんが「アレルギーです!!」と叫び、スタッフが一気に集まってきた。
血圧は80代、酸素飽和度も89%まで下がり、酸素吸入開始。鼻の奥が完全に閉塞してしまい(粘膜浮腫)、口でしか呼吸できなかったのを覚えている。
アナフィラキシーショックだった。
パクリタキセルはすぐに中止、抗アレルギー剤が点滴されたが、この辺りで眠ってしまい記憶がない。
気が付くと1時間ほど経過しており、そのまま緊急入院となった。
夕方、主治医が病室にきて一言目にこう言われた。
「今回はダメかと思いました。ご家族呼んだ方がいいかなと。戻ってくれてよかったです。」
それだけ危なかったということだ。
アレルギー反応は2回目の方が強い症状が出やすい。
今でも助かってよかったと思うが、これでパクリタキセルは完全に使えなくなってしまった。