がんと愛犬と私

がんサバイバーという生き方

看取りとは①

在宅介護をしている先輩のお話に対してよかよか(id:kaze2fukaretex)さんから

こんなコメントをいただいた。

 

tamozo24.hatenablog.com

 

いつか、その辺の話もブログに書いてください。興味あります。

医療による行き過ぎた治療に疑問を持っており(高齢者に関してです)、看取りケアがもっと広まればいいのになと思っていたので。

私が「看取りの過程に関わるのが大好きだった」と言ったことに対し、

どんな部分が好きだったかと興味を持ってくださり、

やりとりの最後で上記のコメントをいただいた。

ありがとうございます。

 

施設看護師として看取りにかかわってきた経験を踏まえて

何かお伝えできることがあればと思った。

本記事ではまず看取りに対する施設、ご家族、病院という点でまとめた。

 

施設側

私は介護療養型医療施設(今は介護医療院)で8年、老人保健施設3か所で6年勤めた。

勤め始めた頃はまだ「看取りケア」が言われ始めたばかりで、

経管栄養(鼻やお腹に管を入れ、栄養のある液体を入れる)や

中心静脈栄養(心臓の近くまで細い管を入れ、栄養価の高い点滴をする)を

行っている方が全体の1/3ぐらいいらっしゃった。

その後、時世の流れで「何もしないという選択もある」という方向になっていった。

最初、医師たちは

「俺たちは亡くなること=負けと教育されてきているから

そんな簡単に看取りって言えないよ。」

と言っていたけれど、

少しずつ浸透してご家族にも選択肢として説明するようになった。

逆に治療をすることでご本人が苦しむ場合もあると言ってくれるようにもなった。

 

ご家族側

施設側が看取りに方向転換しても、

ご本人やご家族が受け入れていなければどうしようもない。

介護サービスでは

こちらが「こういう状況なのでこういう選択肢がありますよ」と説明して、

ご本人またはご家族が意思決定をする。

施設入所されているとご本人が意思決定できない場合が多いので、

ほぼご家族の希望になる。

 

まずは入所時、何かあったら総合病院に搬送するかしないかの意思を確認する。

だいたいのご家族が面喰う。

でもここが入口で「いつかそういう時がくる」という意識を持ってもらうには

一番いいチャンスだと思っていた。

主に伝えていたのは以下の3点。

・方針が決まっていないといざという時に対応が遅れてしまう

・ほかのご家族と相談して1週間後ぐらいにお返事をください

・いつでも方針は変更できる

この段階で看取りを選択する人はほぼいない=救急搬送希望。

ごくたまーにご本人がしっかり希望を書面にしていて、

ご家族がそれを持ってくる場合もある。

そういう時はほぼ「何もしないで」と書かれている。

注意点は

「家族は本人の意思を知っていても、納得しているかどうかは別」

と言う点だ。

 

数年前、実家で家族全員が揃った時、父に私が

「何かあっても何もしないで良いんだよね?」

と聞いたら父は頷いているのに兄が

「でもその時そばにいるのは俺やお袋なんだ。」

と言われた。

まさにこれ。

 

病院側

施設に入所中、転倒したり急な病気になったりして

施設側医師(当直含む)が「必要」と判断し、かつご家族が希望すれば

総合病院に救急搬送になる。

診察室に呼ばれ、総合病院の医師から必ずご家族が聞かれているのは

「どこまで救命(延命)しますか?」

である。

まさにAさんが経験したことだ。

ここでいう救命は心臓が止まっても心臓マッサージをするか、

呼吸が止まっても人工呼吸器を付けるかということである。

搬送しているということは急病状態。

入院したとしても、高齢で何が起きるかわからないので、

総合病院からしたらはっきりさせておきたいのだ。

ここでもご家族は希望を聞かれる。

 

長くなってしまったので続きは次回に。

 

 

 

 

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