がんと愛犬と私

がんサバイバーという生き方

一番つらかった抗がん剤の副作用

抗がん剤と聞くと最初に浮かぶのは副作用の「吐き気」だろうか。昔はかなりきつい吐き気だったそうだが、現在は良い吐き気止めが開発され、かなり楽になっているそうだ。

私は図らずも短期間で3種類の抗がん剤を経験した。カルボプラチンと再発後に投与したネダプラチンを合わせると5種類になる。粘膜や皮膚が荒れるもの・アレルギー反応が起きやすいもの・骨髄抑制が起きやすいもの。それぞれ特徴的な副作用はあれど、共通しているのは吐き気だった。

投与前に吐き気止めの内服薬と点滴をし、投与後2日間も吐き気止めの内服薬が処方されていたが、それでも追加で頓服の吐き気止めを飲んでいた。短いと4日、長いと1週間ぐらい吐き気が続き、食べたいものがわからない・好きなものの味がわからないなどの状態になったので、食べたくなったものをスーパーやコンビニに買いに行くようにしていた。

ちなみに良く食べていたものは味噌煮込みうどん・ウインナーの入ったチゲ鍋・バニラアイス・マック・スイカ・カレー。

関節痛や筋肉痛もあった。だいたい投与して3時間後ぐらいに腰部、大腿部から始まり、全身に広がって数日で抜けていくという感じだった。これに対しても頓服で対応できた。

あとは軽い貧血だったり、お通じの出が悪くなったりしたこともあったが、どれも投与後1週間を過ぎれば楽になった。抗がん剤の副作用で一番つらかったのは・・・脱毛だった。

 

最初に投与したパクリタキセルは必ず脱毛が起こる抗がん剤だ。1クール目投与後、10日位して入浴中に脱毛が始まったのに気付いた。抗がん剤投与前にロングだった髪を短めのボブぐらいまでカットしていたが、それでもこんなに抜けるのかという感じだった。翌々日には頭皮が見えるぐらいになり、落ち武者のような状態がものすごく嫌で、バリカンを買ってきて自分で坊主にした。

私は当時、アトピー性皮膚炎がかなりひどく、自分の髪の毛でもかゆくなることがあったので、あえてウィッグを作らなかった。コロナ禍であまり外出もできない頃だったし、スーパーに行くときなどはケア帽子をかぶっていた。すれ違う人に二度見されることもあってちょっと辛かったが仕方なかった。

使っていたケア帽子

結局、パクリタキセルは使えず、脱毛したのに何だか損したみたいな気分だった。最終的に使えたゲムシタビンはパラパラ程度の脱毛が起こると言われているものだったので、抗がん剤を打ちながらも少しずつ髪の毛は生えてきた。最終的にケア帽子をかぶるのをやめたのは最後のクールから3か月後。まだうねりの強い細い髪の毛だったが、友人が「気にならないよ。」と言ってくれたので止めることにした。

そこから約2年経過し、今ではしっかりとした元の髪の毛に戻っている。髪の毛がある状態に戻って感じたのは、脱毛は気力を奪われるということだ。お気に入りの服を着てもしっかりメイクしても髪の毛がないだけで気分が全く上がらなくなる。「髪は女の命」とはよく言ったもので、まさにその通りだった。

もしこの先抗がん剤投与が必要になってまた脱毛するなら、次はウィッグを作ろうかなと思っている。