がんと愛犬と私

がんサバイバーという生き方

うちの子記念日

10年前の今日、わんこがうちに来た。

あの頃はまさか10年後に

仕事を辞めているなんて

離婚しているなんて

がんになっているなんて想像もしなかった。

あの頃より稼ぐ金額は微々たるものになったが、格段に毎日穏やかな気持ちで過ごせている。

 

わんこがいたのはペットショップだった。生後5ヶ月で、少しずつ値段が下がっていた。最初に見つけたのは元義母。ゆくゆく柴犬を飼いたいと言っていた私(達)に売れ残っている犬がいると言ってきた。そう言われたら気になって仕方なくなるのは当然。元夫は「ペットショップはかわいそうで行きたくない。」と言うので私1人で会いに行った。

スタッフさんに連れてきてもらったとき、嬉ションしてしまうからとお股にキッチンペーパーを当てられて出てきたのを覚えている。抱っこしたら私の手をペロッと舐めてくれた。これで飼う方に気持ちが揺らいた。

私は犬の飼育経験がなく、かなり不安で犬を飼っている職場の先輩に相談した。すると「tamozoさんなら大丈夫でしょ。」と言われ、お迎えする決心をする。

うちに来てからは完全にわんこ中心の生活になった。子供がいない私にとっては過剰な母性の行き先。それを嫌がらず一身に受け止めてくれた。

もちろん楽しいことばかりではなかった。一番悩んだのは噛み癖。嚙む力も加減できないし、まだ歯も鋭くてけっこう痛い。乳歯が抜けたら収まるかと思ったが一向に収まらなかった。今ならわかるが、噛むことが彼の表現方法であり、遊び方だったのだ。

いろいろな方法で噛んだらダメと言う事を教えてみた。叱っても意味がなかったので、噛まれたら思いっきり痛がってみたり、その場から離れたり、噛みつき返したり。言葉の通じないこの毛むくじゃらの子にどうやって教えたら良いのかと育犬ノイローゼになりそうだった。

彼は天真爛漫な性格で怒られてもテンションが上がってしまう。今でこそ叱られているのはわかるが、小さい頃はまったく通用しなかった。なので逆に手を舐めてきたら褒めるという方法にしてみた。これがとても効果的で、今では手の油分が奪われるほど舐める子になった。そして噛みたい時は自分でおもちゃ箱から木のスティックを出して噛んでいる。親ばかだが本当に偉い。

そんな苦労も年月が経てば良い思い出だ。うちに来てしばらくは外飼いしていたが、途中から室内ゲージになり、今では日中フリーで過ごしている。こんな風に過ごせるようになるなんて飼い始めた頃は思わなかったなぁ。幸せかどうかは本犬にしかわからないけれど、少なくとも母ちゃんは幸せだよ。母ちゃんを選んでくれてありがとうね。

気持ちとしては好物のわんこハンバーグでも作ろうかと思っていたけれど、今日は買い出しに行く暇がなかった。週末作るつもりでいる。

彼の一番大事なボールが壊れてきたので、これは買い忘れないようにカートに入れておこう。