母方の祖母は家庭科の先生だった。
そしていわゆる毒親だったらしく、
夫婦喧嘩でカレーの入った鍋をぶちまけ、
それを子供に片付けさせるような人だったらしい。
全て母から聞いただけなので、どこまで本当なのかはわからない。
私の中での祖母は「怖い人」だった。
一度着せ替え人形で遊んでもらったことがあるが、
ものすごーく緊張していた記憶しかない。
今考えると、母から「おばあちゃんは怖い人」と聞かされていたかもしれない。
母はそんな祖母に馬鹿にされ否定されて育てられてきたと言っていた。
「あんたは下手。」「あんたにできるわけがない。」
と言われていたらしい。
だから母は裁縫が大の苦手、というよりやりたくないもの。
Yシャツのボタンが取れると父は自分で付けていた。
なのに。
なぜこんなにボタンを溜め込んだ?
勝手口にこの袋があったので聞いたら
母が自室の捨て活で出してきた物だった。
「不燃ごみに出しておいて。」
と言われたが、プラの物も入っていたので分別し直し。
作業をしながらふと昔の事を思い出す。
小学校高学年、家庭科の授業で前開きファスナーの羽織を作っていた。
初めてミシンを使って作るという内容だったと思う。
授業内で作りきれず宿題になった。
ダイニングテーブルで母が斜め向かいに座り、頬杖をついている。
明らかに機嫌が悪い。
そして
「縫い目が歪んでる!
何であんたはそんなにできないの?!」
と言われた。
悔しくて悲しくて自分の部屋に行き、泣きながら寝落ちした。
翌日、学校から帰ると伯母の一人が来ていた。
この伯母は手先が器用で洋裁や革細工などが趣味だった。
母から電話をもらってきたのだという。
伯母に教えてもらいながら羽織を完成させた。
母と長時間接しているとこういう昔のことを思い出して、
その時の自分に戻ってしまい辛くなる。
そのたびに自分に言い聞かせる。
「あなたは何も悪くない。」
だいぶ色々溜まってきているので、今晩は久しぶりに外に飲みに行ってきます。
気にかけてくれる友人に感謝。