実家に行くにはバスと電車を乗り継いでいく。
その間は普段ゆっくり聴く暇がない音楽の時間になる。
バスに乗ってシャッフル再生したらサカナクションが流れてきた。
途端に3年前に気持ちが戻る。
3年前の夏はちょうど抗がん剤治療の真っ只中だった。
アナフィラキシーを起こして標準治療を受けられず、
やっと治療が始められたと思ったら、人工肛門周囲に潰瘍ができるというトラブル。
そして同時進行で離婚調停。
それまでの人生の中で心底キツイ時期だった。
良く乗り越えてこれたなと今でも思う。
それまでサカナクションの名前は聞いたことはあっても、
ちゃんと聴いたことはなかった。
たまたま音楽アプリのオススメかなんかであがってきて、
聞いてみたらその言葉の選び方に感動した。
切なげなメロディもその時の自分の気持ちにぴったりだった。
最初によく聞いていたのは「夜の東側」
さよならする夜の東側
ゆっくり そう ゆっくり暮れる
隣り合わせの明日を待つだけ
作詞作曲山口一郎 サカナクション 夜の東側より引用
寝る前にいつもイヤホンで聞きながら
毎回、夜の東側が暮れるという表現に感動していた。
いつかこの深い夜のような状態も暮れるだろうかと思っていた。
その次が「アルクアラウンド」
「アルクアラウンド」という表現よ。
今までたくさんの歌詞に感動してきたけれど、
山口一郎さんのようなセンスを持った人は初めてだ。
2番サビ前のうねるベースラインも堪らない。
プレイ回数１、２位を争う「陽炎」
テンションがあがるので筋トレ用のプレイリストにも入れてある。
なんていうか。
韻の踏み方がすごすぎて。
一気に鳴く鳥 遠い紅 いつになくあおる紅
いつになく泣いているようだ 陽炎 陽炎
一気に泣くわ 夜は来ない いつになくあおる紅
いつになく泣いているようだ 陽炎 陽炎
作詞作曲 山口一郎 サカナクション 陽炎-movie vresionより引用
抗がん剤を打ち終わって病院を出るのがだいたい16時半とか。
夕焼けを見ながら帰宅するときにこの曲が掛かるともう泣きそうになった。
そして「ユリイカ」
残念ながらMVは年齢制限が設けられていたので、ライブバージョン。
行き急いでいるつもりはない。
でも知らない間に行き急いでいるような気がする。
この苦しみはいつ終わるのか。
永遠なのか。
たくさんのことが一気に押し寄せてきて
どうしようもない私の心理状態そのものの曲だった。
音楽のすごいところは
一瞬で聴いていた頃に感じていた感覚を呼び起こすところだ。
今日1日、サカナクションばかり聞いていたので
気持ちがあの夏に戻り、すっかり感傷的になっている。
切なくて苦しくてでも必死に生きた夏だった。
あの夏があってよかった。
サカナクション、ありがとう。
